艦これRPG四冊目のサプリ、出撃の書が届いたのでレビューをしますよ。


・ 構成
本の中身はサイフィクおなじみのリプレイ付属データブック。
今回の目玉はロングキャンペーン『鉄底海峡、再び』と、その第一話をそのまま遊んだリプレイ。
艦艇データや追加ルールもあるが、分厚い紙幅はほとんどキャンペーン対応だと思っていいだろう。

・ リプレイ
『掲載リプレイで付属シナリオをやる』というのは、なかなかに野心的な試み。
艦これRPGはイベントチャートによる自動生成という側面が強いので、一話くらいネタがバレたところでヒキ次第で全然違う話になるだろうという読みの結果だろうか。
キャンペーンシナリオであり、あくまで端緒をチラッと見せた程度なのもあって、呼んだ後のプレイに支障はないと思う。

リプレイの内容であるが、TRPG関係者三名(マンチさん、魚蹴さん、黒野さん)+声優・イラストレーター二名による5人PLプレイ。
構図としてはダラダラと寝言を垂れ流し続ける熟練者三名に、初プレイらしい初々しさと真摯さを持った野水さん、基本ケンだが〆る所〆る代官山さんという感じのPL陣営になっている。
経験者チームも寝言ばかり言うのではなく、セッションには真剣さを以って相対した上で経験者故の余裕でもってダラケている印象。
いい意味で、PL間の役割分担が出来ている感じ。
「キメる役」担当っぽくなった野水さんが他PLの顔色をよく見ているPLで、トスの上げ方・レシーブの仕方が素直でとても良いと思った。
また、『TRPG熟練者だが、艦これ初心者』という"よくある"立場のPLとして黒野さんを引っ張ってきて、テンション乱高下激しいテクニカルなプレイを載せたのは、教本リプレイとしての評価にも値すると思う。

地味に経験者チームのデータ選択がガチで、行動力コストの重い武蔵をサポする【海の中からこんにちわ~】から【疾風怒濤】コンボを華麗に決めた、マンチさんのマンチ力には震えた。
回復コストの重い防衛艦である武蔵のリスク軽減を行い、5人PLによる見せ場カブリ回避と新データお披露目を同時に行う、魚蹴さんの明石もいい選択だったと思う。
この二名の選択は、ただマンチなだけではなく卓の状況、他PLとのシナジーまで見た上でのデータ出しなのが、非常に巧い。
"狙う航行序列の分かりやすい火力屋"な上に"これやってりゃいい"というアイドルネタまで持つ那珂、正規空母の基本スペックに本人補正がかかる翔鶴、PLが巧すぎる上にデフォ性能がいい武蔵と、それ以外のメンバーも活躍を期待できる。
トータルで見ると、見どころが多く素直な面白さのある、キャンペーンを遊びたくなるようなとても良いリプレイだったと思う。


・ 追加艦むす
今回追加されたのは明石・大鯨・龍鳳・酒匂・春雨・天津風・時津風・浦風・谷風の合計9名。
ドイツ艦は今回も選考漏れであり、早くBismarckで"黄金の獣"ゴッコしたい俺としては残念至極。
独立特務機関"Z"を率いる艦むすにして高級将校で貴族で遊びたいよ~あびゃ~(ちょぼらうにょぽみ顔)

さておき、データ的には初のヒーラーとなった明石の特異性が面白い。
修理コストの重い大型艦と噛み合わせるのが一番わかり易いが、ゾンビ船と化した矢萩を一生浮かばせたり、朧の回収した資源のツッコミどころにしたり、シナジーが組める相手は山ほどいる。
反面直接打撃能力には欠けるため、4人以上でのプレイで輝く感じだろうか。

大鯨・龍鳳はPT編成が偏るが、上手く使うと爆発的火力支援を受けられる固有持ち。
酒匂は阿賀野型らしい装備の充実、固有に書いてあることのぶっ壊れ方で最強軽巡も十分有り得るスペック。
このゲームのアイテムは全て強いのだが、戦闘中はトスする事が出来ないことに要注意。
とは言うものの、ミドル戦闘で使えばどれツモっても十全に強いわけで、やっぱこの子強いわ。

春雨は資財の任意交換が可能だが燃費は悪い。
天津風は戦術・固有ともに回避支援特化で、回避力を命中にコンバーションできる島風
とのコンビ打ちが想定されているのだと思う。
時津風は先制攻撃による初手事故をカバーできる優秀な固有を持っていて、今回追加された指名アビリティ『コンプレックス』とのシナジーが強い。
偽物の英雄・時津風の時代か……。
浦風の固有【うちがついておる】はデフォルトの【護衛艦】でのレンジドカバー以外にも、【一蓮托生】や【誘導】などとシナジーする、応用幅の広い特技。
デフォで作戦特技を取れるので、必要なら【以心伝心】でプロットを見せてしまう動きが強い。
谷風は航空防御と対潜攻撃に特化したピーキーな船であり、使い方は結構難しそう。

他にも各種改二、追加装備、追加家具などのデータが有る。
家具に関しては「原稿机」「七面鳥のごちそう」「だるま」当たりが強家具か。
マーク状態が名言化されたのは処理が楽になって、凄く良い。
島ルールは『それで一本作ってね』という、実戦性の高いルールでありなかなか面白い。


・ キャンペーン
シナリオの中身に関しては、読んでいないので割愛。
……いやね、遊ぶかもしんないじゃん。

キャンペーンの目玉として追加された『使命』に関しては、元ネタががっちり存在する艦これPRGの弱点、『キャラの個性化が難しい』という部分を補う妙手であり、個人的には鉄底キャンペーン以外にもガンガン導入したい良データだと思う。
追加される設定も汎用性が高く、その上でキッチリ煮えられる実践的なものばかり。
ロールしても面白いが、使命アビリティが付随する以上データとシナジーし、キャラロールを助けるものを選択するのがベストの使い方だと思う。

無論"ただ強いから"で取るよりは、キャラのドラマをブーストする方向に、しっかりと扱いたいデータでもある。
個人的に優れていると思ったのは、終了条件が明記されている点。
物語は終わるべくして始まるわけで、こうしてエンドマークをしっかり意識させることで、そこに至るロールの蓄積も安定する。
ゲーム的なデータで終了するものもあれば、シナリオの展開の中で終了するものもあり、終わるパターンが多岐にわたっているのも良い。
なお、使命アビリティ全レビューは、近い内にやります。


・ 総論
リプレイと連動したキャンペーンという試み、ロールもデータも加速させる使命の追加と、ツボを抑えた良サプリだと思います。
艦これRPGも四冊目、いい塩梅にいろんな蓄積が出来てきたなぁという印象を受けました。
はー、遊びてぇ(レビューするたび思う感想でエンド)